電子ピアノのメリットとデメリット - 電子ピアノの上手な選び方

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電子ピアノのメリットとデメリット

自分の趣味のためや、レッスンをするという目的で、ピアノ購入を検討中の方もおられるかと思いますが、「ピアノ」と一言でいってもアップライトやグランドピアノだけではなく、近年では電子ピアノが人気を集めているようです。

電子ピアノの特徴は、種類豊富な音色やリズム、メトロノーム、録音機能など、電子楽器ならではの多彩な機能が搭載されている点ですが、アコースティックピアノと比較したときに、具体的にどのような「メリット」と「デメリット」があるのでしょうか?

電子ピアノのメリット

まず、購入する費用についてを挙げると、アップライトは安くても新品で50万円~、グランドピアノは軽く100万円を超えるのと比べて、電子ピアノなら高くても30万円台なので、「購入資金を貯める」「ローンを組む」といった金銭的な負担が少なくて済みます。

参考:電子ピアノの価格の目安について

また、弾く頻度にもよりますが、アコースティックピアノは年に1~2回ほど調律をする必要があり、その費用は1回につき1万円前後かかるのに対して、電子ピアノは音程が狂うことはなく調律不要なので、維持費がかかりません。

普通のピアノと比べて気軽に始めることができるので、「ピアノを弾いてみたいけど、すぐに飽きてやめてしまったらどうしよう…」というような悩みを持っている人の最初の一歩として、電子ピアノは特におすすめです。

マルの札を持った女性のイラスト重量やサイズも比較的コンパクトなものになるので、置き場所や移動にも困るようなことはさほどないと言えるでしょう。

さらに、いろいろな音色やリズム、曲が内蔵され、練習に便利なメトロノームや録音機能など、普通のピアノにはない機能が充実しています。

自宅でピアノを弾く際、近隣に対しての騒音などが気になる部分ですが、電子ピアノなら音量の調節やヘッドホンを使えるので、練習の時間帯をあまり気にしなくてもよく、特に集合住宅などにお住まいの方に選ばれているようですね。

参考:防音対策はどうしたらいい?

状況に合わせてボリュームが変えられるのは、とても助かります。

特にお子様の場合、練習で何時間も演奏を続けることがあるでしょう。音量の調整が可能なら、気の済むまで練習をさせてあげることができますし、練習したいときにたくさんピアノに触れさせてあげることによって、上達するスピードも速くなるようです。

電子ピアノのデメリット

反対にデメリットを考えてみると、電子ピアノは鍵盤のタッチが平坦であるため、表現力といった技術を身につけることが難しく、音色や音量をコントロールして演奏するということがあまりできません。

同じ強さで弾いたとき、アコースティックピアノの場合は弾き方によって音色や音質が変えられますが、電子ピアノだと自分で音のメリハリを付けられないので、ある程度上達した頃に物足りなさを感じることも。

自分で音を作り出すことができない電子ピアノの鍵盤ばかりを長く弾いていると、耳と指の感覚が発達せず、余計な力を入れて弾くのがクセになってしまったり、指は動いているのに表現力が伴わないということにもなりかねません。

習い始めたばかりの初心者ならともかく、いずれは本格的にアコースティックピアノを弾きたいと思っている人が、ずっと練習用として使うのには、電子ピアノはあまり向いていないと言えるでしょう。

バツの札を持った女性のイラストまた、電子ピアノと同じ感覚でアコースティックピアノを弾くと、タッチの違いを感じてしまい音の強弱が不安定になることも考えられます。

ピアノを習っていると毎年行われる発表会などがあるかと思いますが、そういうときは勿論アコースティックピアノを弾くことになります。電子ピアノに慣れすぎていると、タッチの感覚の差に上手く適応できなくなってしまうというリスクもあります。

それはペダルの踏み方にも言えることです。
電子ピアノのペダルは、適当に踏んでいてもそれらしく聞こえてしまうことが多いといわれ、もし電子ピアノでペダルをなんとなく踏むクセがついてしまうと、アコースティックピアノで弾くことになったときに直すのに苦労するかもしれません。

電子ピアノは楽器とはいえ、どちらかといえば電子機器という認識が強いので、本格的に音楽に取り組み、クラシックや難しい曲にチャレンジしたいという方には、もちろんアップライトやグランドピアノがおすすめです。


しかし、グランドピアノのように大きなピアノを自宅に置くスペースを作るのが難しいという人にとっては、電子ピアノのメリットは大きいと言えますよね。

ピアノを「弾く」「習う」のに、アコースティックピアノは決して必須というわけではありません。弾きたい曲や目的によって、電子ピアノとピアノのどちらが適しているかは異なるからです。