電子ピアノとピアノの違いとは - 電子ピアノの上手な選び方

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電子ピアノとピアノの違いとは

ピアノは、『アコースティックピアノ(生ピアノ)』と『電子ピアノ(デジタルピアノ)』の大きく2種類に分かれ、グランドピアノやアップライトピアノといった、いわゆる普段「ピアノ」と呼ばれているものがアコースティックピアノになります。

機種によってはアコースティックピアノのような見た目の電子ピアノもありますが、電子ピアノは電源を入れなければ音が鳴りません。

アコースティックピアノと電子ピアノ

ピアノと電子ピアノの一番の違いは、音を出す仕組みでしょう。

ピアノは、指で鍵盤を押した力がハンマーを動かし、ハンマーが弦を叩いた振動が音を出す仕組みとなっています。その振動は豊かに広がり、叩いた弦以外の弦も共鳴して独特の響きを生み出します。

弦を水平に張った「グランドピアノ」がピアノ本来の形で、これを縦型にコンパクトにしたのが「アップライトピアノ」です。

この2つは、音を出す基本的な構造は一緒なのですが、ハンマーが弦を打つ仕組み(アクション)や音響部材である響板の形が異なるので、弾き心地や音色に違いが出てきます。

グランドピアノ
ピアノ本来の形で、弦を叩いたハンマーが自重で戻る構造のため、トリル(鍵盤の連打)などの細かい表現ができます。また、内部の弦の長さも違うため、音の響きや表現力もぐっと広がります。
アップライトピアノ
グランドピアノをコンパクトにしたタイプ。フレームや弦、響板が上下に伸びるように作られているので、ハンマーも横から叩く構造になっています。バネでハンマーが戻るため、元の位置に戻るスピードがグランドピアノよりも若干遅く、細かい指の動きなどに限界があります。

アコースティックピアノは生楽器なので、常に良い状態を維持しようとするなら最低でも1年に1回は調律する必要があり、湿度管理といった手間やコストもかかります。しかし、電子部品で構成されていないので、大切に使いしっかりとメンテナンスをすれば、一生ものといえるほど長く使い続けることができます。


一方、電子ピアノは電気を用いてピアノの音を奏でる電子鍵盤楽器で、弦はありません。

ハンマーを備えた電子ピアノはありますが、そのハンマーは弦を叩くためではなく、よりピアノに近い打鍵の感覚と反応を得るための装置になっています。

電子ピアノの音を出す仕組みは、鍵盤を押すとその情報をセンサーで感知し、生ピアノから録音(サンプリング)した音をスピーカーから出すようにできています。そのため、ピアノと電子ピアノの構造は根本的に全く異なるのです。

電子ピアノはデジタル楽器なのでメンテナンスの必要がなく、コストをかけずに常に同じ状態で演奏することができます。

音を出す構造の違いから、ピアノと電子ピアノの音色は基本的に違っていると言えますよね。

近年では、電子ピアノの性能が非常に良くなってきているため、音そのものはとても綺麗になっているのですが、スピーカーを通ることもあり、やはり生ピアノには敵わない部分があります。音の質に関しては、生ピアノの方が透き通っているような音色になります。

その他の違いとして、ピアノに比べると電子ピアノは鍵盤を押してから鍵盤が戻るまでの時間がゆっくりしているようです。そのため、ゆっくりとしたテンポの音楽であれば問題はありませんが、スピーディな曲を演奏したりする際には生ピアノの方が向いていると言われています。

しかし、自宅でピアノ曲の練習をしたり、簡単な音楽を作ったりするくらいであれば、電子ピアノでも十分に機能を発揮してくれるでしょう。近年では、生ピアノよりも電子ピアノを購入する方がリーズナブルで良いと言われることもあります。

参考:電子ピアノの価格の目安について

人前で生演奏したりするのであれば、もちろん生ピアノで日頃から練習すると良いのですが、そうではなく自分の趣味のためにピアノを弾くのであれば、電子ピアノで十分なのではないでしょうか。

通常、アコースティックピアノの鍵盤数は、白鍵と黒鍵を合わせて88鍵です。電子ピアノの場合、鍵盤数の少ないものもありますが、88鍵ないと演奏できない曲は意外とあります。鍵盤の幅が狭いものもあるようなので、その点にも気をつけましょう。

他にも、ピアノと電子ピアノの違いはあります。

ピアノと電子ピアノとでは、重量がぜんぜん違います。グランドピアノが250~400kg程度、アップライトピアノが200~250kg程度に対し、電子ピアノの重量は40~80kg程度と軽量です。

また、電子ピアノは弾く音のボリューム調整やヘッドホンを標準装備として付けられるようになっているので、時間帯などをそれほど気にせずに使用することが可能です。生ピアノで同じことをするには、専用のユニットを取り付けること等が必要となってきます。